【概要】

物質を構成する原子の並び方は物の性質を決める重要な要素です。たとえば、同じ炭素原子からできていても、ダイヤモンドと炭では色や固さ、電気抵抗までも極端に違います。これまではX線回折で解析されていましたが、直接見ることはできませんでした。

我々は、独自開発した「二次元表示型光電子分光装置」という分析器を用いて世界で初めて原子配列の立体写真の撮影に成功しました。しかし、立体写真を立体視するには、高価な3Dテレビなど大型の装置と専用メガネが必要で、見られるのは研究者ら一部の人でした。

このたび、多くの人に原子の世界を堪能してもらおうと、発売中の3次元表示できるポータブルゲーム機(ニンテンドー製)のファイルに変換してホームページに置き、アクセス可能にしました。この結果、世界中の多くの人がどこでも簡単に原子の世界を体験することができるようになりました。

今回、使用した技術では元素ごとの構造解析が直接できるため、ニーズが高まるレアメタルの代替物質など新物質の原子レベルでの開発が容易になることが期待されます。また、小学生でも原子の世界が体験できるようになったので、理科好きな若者の増加に貢献すると思われ、日本の製造業の興隆にも繋がるでしょう。

【3DSで立体写真を楽しむ手順】

1.   次の立体写真を、右クリックで「対象をファイルに保存」でダウンロードする。ダウンロードしたファイルの拡張子がMPOでなかったらMPOに直す。

HNI_0014.MPO(インジウムリン結晶のIn原子からP原子を見た立体写真)

HNI_0015.MPO(タングステン結晶のW原子から周りを見た立体写真)

HNI_0016.MPO(グラファイト結晶のC原子から周りを見た立体写真)

2.   ニンテンドー3DSのSDカードを抜き取り、コンピュータでファイルを開く。

3.   \DCIM\100NIN03ホルダの中に入っているファイル名を調べる。

4.         HNI_0011.MPO

HNI_0012.MPO

HNI_0013.MPO

などとなっていたら、その最後の番号に引き続く番号の名前にして立体写真をセーブする。

5.   うまくいかなかったらご連絡ください。



【立体写真の解説】

上の図は、HNI_0014.MPOの立体写真を、左目用と右目用を並べて表示したものです。インジウム(In)原子とリン(P)原子からなる結晶InP中のIn原子(図(c)のO)から、すぐ上のP原子(A)の方を見た原子配列の立体写真になっています。(a) (b)をそれぞれ左眼と右眼で見ると、脳内で立体像が浮かび上がります。しかし、この方法は、訓練が必要で、きれいに見ることは難しいものです。ニンテンドー3DSを使うと誰でもきれいに見えますので、楽しんでください。自分があたかも一つのIn原子になったかのように、自分の周りのPIn原子の配列を立体的に直視する感覚を実感出来ます。