入学希望の皆様へ

研究室で学ぶこと

 生体プロセス工学研究室は、レーザー、顕微鏡、マイクロ流体チップ技術を駆使して新しい医学・生物学に向けた細胞の操作、計測、制御手法を研究し、開発することを目的とする研究室です。細川と安國は、応用物理学分野でレーザー技術と顕微鏡技術を、ヤシャイラは機械工学分野出身でマイクロ流体チップ技術を、山田はバイオサイエンス分野出身で細胞操作を専門としています。細胞試料を研究対象としており、生物学、バイオテクノロジーの研究室かと思われることがあるのですが、研究の中心は、レーザーによる計測・制御技術と“ものづくり”の工学にあります。研究室配属された学生には基本的に、レーザー、顕微鏡、マイクロ流体チップを用いた新しい細胞の操作、計測、制御のための開発研究に取り組んでもらいます。
 レーザーと顕微鏡を組み合わせるための光学技術とものづくりの基本については、全ての学生に学んで頂きますが、個々の開発研究課題に必要とされる電気工作、機械工作、プログラミング、細胞操作などの技術については、それぞれの学生のバックグラウンドに合わせて、何を主とするかを考えていきます。細胞試料を使わないで、細胞のモデルとなる試料を用い、新しい方法確立のための電子制御技術の開発、レーザー加工によるマイクロ流体チップの開発などで卒業した物理・電気・機械工学系の学生も多数います。細胞試料に化学的・生物学的な工夫を凝らして新しい方法を開発した化学・バイオ・薬学系の学生も多数います。研究課題・技術課題は多岐に及んでいますが、全ての学生に共通して学んで頂きたいことは、実験のデザイン・設計から実験系構築(組立)・計測までを一貫しておこなう考え方です。個々の学生は、自分一人で取り組める技術課題・実験課題を持ち、それを研ぎ澄まし、究めてもらいたいと考えています。
 一方で、細胞試料を用いた研究は、他研究室との共同研究がほとんどで、特にバイオサイエンス領域の分子生物学、動物細胞生理学、植物生理学の多岐に及ぶ多くの先生方に協力いただいており、研究室にはバイオサイエンス領域の先生や学生が多数、共同研究のための実験に訪れます。当研究室の学生は、自身の開発研究課題を持つ一方で、その課題と相性のいい共同研究にも取り組んでもらいます。例えば、細胞試料の準備から顕微鏡への試料のセットまでをバイオの学生に担っていただき、装置のオペレーションからデータ解析までを当研究室の学生が担い、データ解釈について一緒に考えるというスタイルになります。もちろん、興味に応じて当研究室の学生が、バイオの研究室に赴き、試料準備方法から教えてもらう場合もあります。このような異分野との共同研究を通じて、「先方が何を望んでいるか、我々が先方に何を望むか」という社会におけるコミュニケーションの基本について学び、企業や研究機関で羽ばたける人材になってほしいと考えています。

キャリアアップについて

 このような研究技術と考えを学んだ当研究室の多くの学生は、電子機器・医療機器メーカーへの就職を志望し、叶っています(卒業生の就職先)。さらには、当研究室の課題とは関係ないかと思われる社会インフラ系、鉄道系、IT系、コンサルタント系などの企業を志望し、就職していった学生も多数います。“ものつくり”に対する真摯な考え方、コミュニケーション能力は、これらの全ての業種に根差す基本であり、当研究室でその基本を学び、更には自身の個性を伸ばすことができれば、多様な未来が拓けると思います。
 修士課程の2年の期間は極めて短く、自身の能力に磨きをかけたいという学生には博士課程への進学を薦めます。企業に入れば給料がもらえますが、給料に見合った企業の指向にあった業務をこなさねばならず、時にはそれが自分の能力を伸ばす方向に働かないことがあります。一方で、大学での奨学金などによる補助は企業の給料に見合うものではないかもしれませんが、自由があります。自身の考えで自由に研究し、学術論文の執筆について学び、世に通ずる企画から総括までを一貫してこなせる能力が身につけば、その後に企業に就職したとしても、自身に企画が任されるポジションにつける可能性が上がるかもしれません。実際に、グローバル化の中で仕事が多様化する昨今、企業の方からそのような人材を育成して欲しいとの声もあり、必ずしも専門性の高いジョブマッチングのとれた学生のみを企業が求めているという風潮だけではない気がします。
 更には、博士課程で優秀な成績を収め、大学や研究機関で活躍できるようになってもらいたいと思っています。大学や研究機関では、極めて激しい研究の競争を勝ち抜かないと職にも就けない可能性もあるのですが、極めて自由に研究活動ができ、世界の最高レベルの科学技術の高峰を望むことができます。自身の能力と個性を極めるため、限界に挑戦し、越えようとする志を持った皆様を待っております。

細川 陽一郎