Project of Masanobu NAITO

テーマ名
人工bアミロイド集積モデルの創成と会合挙動解析
概要
アルツハイマー病などに代表される神経変性疾患は、宿主プリオンタンパク質が異常プリオンタンパクに構造変換された後、中枢神経系に蓄積することで致死性神経障害を発症する。その際、bアミロイド微小繊維の形成が、プリオンタンパク質の構造変換を引き起こすトリガーとされてきた。しかし、b-アミロイド微小繊維は不溶性であり、構造解析や生成メカニズムの解明は非常に困難であった。そこで、 b-アミロイドモチーフを両親媒性化合物に組込むことで、人工的にβアミロイド微小繊維様の繊維状構造体の創成に成功した。さらに本手法を応用することで、これまで困難であったペプチド二次構造(平行bシート→逆平行bシート、ランダムコイル)の制御に成功し、神経変成疾患に対する対処療法薬創成のための新手法を提案した。

001.tiff人工二分子膜を利用したアミロイド繊維の可溶化

テーマ名
超臨界流体中での分子認識の解析
概要
超臨界流体(scF)は、代替有機溶媒として反応媒体やクロマトグラフィー移動相などに広く利用されている。しかし、scF状態は高温、高圧条件が必要であることから、scF内での化学反応メカニズムや分子間相互作用については未解明であった。申請者は、超臨界流体用水晶発振子マイクロバランスを自作し、scF中における有機結晶中でのホストーゲスト分子認識の動力学解析(Ref. #6, J. Am. Chem. Soc. 2001)(図2A)や、核酸塩基単分子膜上での相補的水素 結合形成(Ref. #5, Chem. Commun. 2000)(図2B)に成功した。特に、scF に特異な溶媒和構造に基づく水素結合形成や分子認識メカニズムを提唱した。

003.tiff超臨界流体中での分子認識

テーマ名
1次元シリコンナノワイヤの表面物理現象の解明
概要
Si が1次元に連鎖したポリシランは0.2nmの線幅を持つ究極のシリコンナノワイヤである。特に、その光・電子物性は1970年代から非常に興味が持たれてきた。一方、申請者はポリシランの主鎖異方的な電子吸収を、1次元鎖状分子の基板表面での物理現象を解明するためのプローブとして用いることで、鎖状分子の表面・界面におけるダイナミクスを解明してきた。 なかでも、鎖状分子が自己組織化膜を形成する際の剛直性と分子長の相関を解明した(Ref. #12, Chem. Commun. 2004, Ref. #17, Macromolecules, 2007)。また、単一分子鎖のトポロジー観察から、剛直性・分子長に応じた鎖 状分子の棒状̶環状構造相転移現象を見出した(Ref. #15, Chem. Commun. 2006)。 さらに、単層カーボンナノチューブ(SWNT)表面を鎖状分子で被覆するポ リマーラッピングにおいて、鎖状分子の剛直性・コンホメーションとSWNTの 直径との相関が重要なドライビングフォースであることを解明した(Ref. #21, J. Am. Chem. Soc, in press)。これまでSWNTのポリマーラッピングは、経 験に頼った材料設計が主流であったが、本知見により分子設計による効率的な 材料開発が可能となった。なお、一連の研究成果はRef. #4, Soft matter (2008), Ref. #5, 高分子論文集(2008)に総説として報告した。

002.tiff剛直性・コンフォメーションに依存したSWNTのポリマーラッピング

テーマ名
固液界面重縮合法による半導体超分子・高分子エピタキシャル薄膜の創成
規模
有機半導体高分子は電子状態・サイズ制御が分子設計とビーカープロセスの みで達成できること、ウェットプロセスで成形加工が可能であることなど、無 機半導体にはない優れた特長を有しているが、超高真空など非常に高度な作製 技術を必要とした。申請者らは、アキシアル位に重合性官能基を有する可溶性 フタロシアニン(Pc)溶液中に、反応性官能基を持つアンカー層基板を浸漬す ると、基板表面に自己集合化したPcのみが自発的に脱水重縮合し、その結果、 基板面に対して垂直に配向した高分子化Pc薄膜が作製できることを明らかにし た(固液界面重縮合)(Ref. #18, Chem. Lett. 2007)

004.tiff

テーマ名
ナノ界面制御による環境調和型生物忌避材料の創成
概要
海洋付着生物(イガイ・フジツボ等)が 生産する付着性タンパク質は、水中で効率 よく接着効果を示すことから、医療用接着 剤などへの応用が期待されている。その際、 接着性の制御(剥離・保存方法)が大きな 課題の一つであった。申請者は汎用性高分子ポリビニルアルコールに電荷部を付与するだけで、高い生物忌避活性が得ら れることを明らかにした。現在、企業との特許ライセンス契約(特願 2005-255751, 2004-06981512)を結び、実用化試験を行っている。なお、 本事業はNEDO技術開発機構若手研究グラント助成成功事例30選に選出され た。

防汚結果.png非金属性環境調和型防汚材料の開発