原子スケール分析法を基盤とした固体物理・表面化学の研究室です

2017/01
2016/11/04
2015/02/07
2015/01/07
2013/07/23

研究室の目標

グリーン?

これからの社会の持続性を科学技術の立場から支えていくキーワードがグリーンテクノロジーです。物質科学分野では省エネル ギー・省資源・稀少元素代替・環境負荷物質代替といった課題の解決が求められています。発蓄電・高性能触媒といったエネル ギー・材料生産、環境センサーによるエネルギー・材料効利用の率化、耐性付与による製品の長寿命化、再資源化計画などなど。 グリーンテクノロジーの展開には、例えばこうした課題を解決する機能性材料・デバイス開発のための要素技術の確立が重要とな ります。

表面・界面科学

表面・界面は太陽電池、半導体素子、不均一触媒、磁性多層膜など役に立つ様々な機能の発現の場です。 こうした機能性物質・デバイスを開発する上で、 原子サイトを特定した表面・界面現象の評価手法と原子レベルでの界面設計・構築技術の確立が重要です。 光電子回折分光法は表面・界面の原子構造・物性を非破壊的に解明する独自の局所分析法です。 当研究室では表面科学・電子分光技術を基に、グリーンナノシステム、特に機能性材料・デバイス界面での新奇物性発現の解明に力を入れています。

研究テーマ

表面・界面科学

物質・情報・環境・エネルギーの結節点であるナノ構造体の表面・界面活性サイトでは、局所電子状態が新奇機能発現の鍵を握ります。 本研究室では、こうした表面・界面現象に注目し、その発現機構の理解と制御に取り組みます。異種の固相が相接する界面領域では、バルクには見られない異方的な構造歪(ひず)み・組成変調に伴う特異な局所電子状態の形成により、分極・整流・発光・光/熱起電力・界面磁化・電子伝導など様々な新奇電子物性が発現します。こうした界面現象を基礎とした機能性物質・デバイスを開発する上で、原子サイトを特定した評価手法と原子レベルでの界面設計・構築技術の確立が喫緊の課題となってきます。

光電子回折分光法

サンプルイメージ

新研究室では表面・界面の原子構造を非破壊的に可視化する独自の方法:光電子回折法を開発していきます。 分析化学の教科書を広げるとまず「定性分析」「定量分析」といった言葉が出てきます。「物質の成り立ち(組成)」を化学の立場から調べるときには、砕いて様々な試薬との反応性を見たり、成分に分け秤量したり、といった破壊分析というアプローチが重要になります。他方、「物質の振る舞い(物性)」を物理の立場から調べるときには、光や電磁場を当て、応答を調べる非破壊分析が有効になります。 こうした非破壊分析の手法は大きく「分光法」「顕微法」「回折法」「時間分解測定法」に分類することができます。検出器の改良が重ねられ、「エネルギー分解能」「空間分解能」「角度分解能」「時間分解能」が大幅に向上してきました。さらにこれら4要素を組み合わせることで、新しい視点からの手法が誕生します。 これまで「時間分解分光法」や「顕微分光法」が盛んに行われてきました。「時間分解顕微法」も登場しています。それに対し「回折法」と他の組合せは少数派です。「回折法」的測定は往々にして時間がかかるからです。 光を固体表面や分子に当てて飛び出す電子を分析する「光電子分光法」は物性を決定する電子状態を直接観察するのに有力な手法のひとつです。 他方、電子回折法は元素選択的な原子構造解析法として多くの研究があります。 両者をうまく組み合わせることによって原子一つ一つの電子状態を解き明かすような手法ができないものか、と手探りで進めているのがこの「回折スペクトロスコピー」です。 第三世代放射光施設の登場で高エネルギー分解能・微小ビーム・パルス・可変偏光という特徴ある光を手にすることのできるようになりました。各地で「顕微法・分光法・時分割測定」を組み合わせた新手法による研究計画が進められています。「回折スペクトロスコピー」の展開にはマルチチャンネル高速検出がブレークスルーとなります。
「回折スペクトロスコピー」の研究の独自性は、光照射された試料からあらゆる方向に放出される信号を余すところなく拾い集める検出器を用い、先端分光を展開する点です。 具体的にはこれまで光電子・Auger電子回折とX線光電子分光・X線吸収分光法を組合せ、磁性薄膜や超伝導体表面のサイト選択的・原子層分解の電子状態や磁気構造を解析してきました。 また単一エネルギー電子ホログラフィの解析アルゴリズムの開発も進めています。 一度に回折"snap"パターンが測定できる特徴を活かし、2D focused beam scanによる微結晶・不均一系構造解析や時間・温度依存性測定による反応・相転移ダイナミクス追跡を狙っていきます。 電子状態や磁気構造の原子サイト選択的・立体的解析がキーワードとなります。 遷移行列要素の解析や遷移過程の偏光依存性から直接アクセスできる「原子軌道」の情報はユニークです。そこから新しい物理に結びつく道を探っていきます。 これまでいくつかのわくわくする新現象発見の場に遭遇してきました。 またこのアプローチは埋もれた界面での新奇現象を調べるのに有効なことが示されてきました。

新表示型分析器

新研究室での独自の研究活動として新分析器の開発・製作を進めています。2015年度には国内特許を、2016年度には国際特許を申請しました。小型・シンプルな表示型分析器を本年度に立ち上げます。回 路・設計・精密工作の腕に覚えがある人、大歓迎です。

グリーンデバイス評価

サンプルイメージ

物質創成科学研究科の強みは「界面分析技術」と「デバイス作製技 術」を密に融合できる点です。デバイス界面で原子構造・電子状態が実 際にどのようになっているか、これまで直接的に観察する手法がなく隔 靴掻痒の状態でしたが、試料の工夫と光電子回折分光法の展開をベース に、こうした課題に挑戦しています。

現在、「光で解き明かす機能性材料・デバイス界面の原子構造と局所電 子物性の発現機構」という共同研究を企画提案しています。具体的に:

  1. SiCベースのパワーデバイス:界面の原子構造・電子状態を解析し、ヘテロ構 造作製プロセルにフィードバック。
  2. grapheneの基板との相互作用:積層/ 端部構造と層ごとの電子状態を解析し、デバイスに適した基板との相互作用を解明する。
  3. アモルファス薄膜の深さ分解組成解析・多結晶表面の顕微回折分光
  4. 磁性薄膜:原子層分解磁気構造解析を発展させ、相転移による垂直磁気ス イッチングの制御を目指す。
といったテーマに取り組みます。グリーンナノシステムを対象としてい きます。