実験室のビーカーレベルの新規材料は、将来産業の一部となり工業的に製造され、社会の中で実用化されることが期待されます。 しかし、研究段階の材料が実用化するまでには様々なステップを経る必要があります。エンジニアリングの観点からの材料評価・技術開発もその一つであり、 プロセスシミュレーション技術が実用規模での材料性能およびプロセス設計等に関する有益な情報を提供する手段として利用されています。
 例えば、近年、温暖化対策技術として注目されている二酸化炭素回収・貯留(CCS)について、大規模発生源を対象にから二酸化炭素(CO2)を分離回収する材料・プロセスの開発が進められています。 アミン系吸収剤を用いたCO2分離回収技術では、CO2を回収し、吸収剤を再生する工程においてエネルギー(CO2分離回収エネルギー)を必要とします。 火力発電所の燃焼排ガスにCO2分離回収技術を適用した場合、発電用の蒸気や発電した電力をCO2分離回収プロセスに一部利用するため、発電所の発電量(発電効率)は低下します。 プロセスシミュレーションは、システム全体の熱収支・物質収支を定量的に評価することで、材料性能がシステムに与える影響を明確にします。図1はCO2回収型火力発電システムのプロセスフローです。 プロセスシミュレーションソフトを用いて、ユニットプロセスを示すブロック(△や□で表現)をストリーム(→)で繋ぎ合わせたフローが構築されています。 プロセスシミュレーションの結果、図2に示すように、吸収剤の性能を示すCO2分離回収エネルギーが発電所の発電効率低下へ与える影響を定量的に明確にしています。

図1 CO2回収型火力発電システムのプロセスフロー
図2 発電効率への吸収剤性能(CO2分離回収エネルギー)の影響

プロセスシミュレーション技術による性能評価

環境適応物質学研究室

公益財団法人 地球環境産業技術研究機構(RITE

連携研究室

奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科

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