NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学領域 ~光ナノサイエンス~

分子複合系科学研究室

教授:上久保 裕生
助教:山崎 洋一
助教:林 有吾

研究室URL: http://mswebs.naist.jp/LABs/kamikubo/index.html

分子の世界の社会学
分子集団が織りなす機能性の源を紐解き利用する

物理学、化学、生物学などの分野からなる融合研究を進めています。未知なるものに興味を持ち、探究心を持ち続ける能力を身につけたいと考えている人であれば、研究を始めてから必要な知識は身につけることができます。

分子複合系に見られる様々な現象の解明、そこで得られた科学的知見に基づいた新規分子複合系材料の開発を通じ、論理的思考によって自ら判断する意思を持つ自立した研究者・社会人を養成したいと考えています。分子複合系は学際領域研究によって解き明かされるものであり、特定の学術分野に特化した研究では歯が立ちません。新しい現象に興味を促すことで、課題解決に必要な科学的素養を主体的に身につける実践的な能力を育成することを指導方針としています。

日頃の研究活動を通じ、X線/中性子/光散乱計測、分光学的計測、顕微観察、遺伝子/タンパク質工学等の手法や物理化学、生物物理学、蛋白質科学、材料科学に関する知識を身につけることができます。学生には独立した研究テーマを設定し、立ち上げから責任を持って遂行にあたってもらいます。研究を立ち上げ成果を出すことは、社会人になって一つのプロジェクトを任され、その課題の構造を読み解き、一つ一つ行動しながら解決し形にしていく作業に似ています。研究遂行時に生じる問題を研究室メンバーと共有しつつ、様々なアドバイスやアイディアに基づき、最終的には自らの判断によって解決できる能力を身につける環境を提供します。

博士取得者の中には、公的研究機関や大学等で研究者として活躍している修了生や、民間企業に就職し、新しいプロジェクトを任され、その立ち上げに尽力している修了生が多数います。博士前期課程で卒業した学生も、化学系、材料系、製薬系をはじめとした民間企業に就職し活躍しています。

人間、一人一人の力は小さくても、社会集団を形成することでより大きな力を発揮することができます。これと同じことが分子の世界でも起きていま
す。分子複合系科学研究室では、分子集団の協奏現象が生み出す機能性の理解とその材料科学への応用を目指しています。分子複合系の理解:我々が研究対象としているのは、様々な分子が共存する複雑な生命システムです。生命システムの中では、蛋白質と呼ばれる分子達がそれぞれ個性を持ち、機能に対し何らかの役割を担っています。しかしながら、個々の蛋白質分子は生物に見られる高度な機能とかけ離れたささやかな機能を持っているにすぎません。我々が目の当たりにする生物が示す多様な機能性は、これら蛋白質が緩やかに結びついた集団が恒常的かつ自律的な集合離散を繰り返すことによって実現されています。当研究室では、分子集団が示す機能性の源を紐解くために、従来分析が困難だった複雑な分子システムの動態を解析する新しい研究手法の開発を進めています。
分子複合系の利用:蛋白質分子集団は、生理機能を生み出すのみならず、様々な生体材料の構成物にもなっています。個々の蛋白質には自分自身がなりたい構造が潜在的にプログラムされており、自発的にその構造に折り畳まれる性質を有しています(自己組織化)。蚕やクモの糸(シルク)等に代表される構造蛋白質と呼ばれる種類の蛋白質は、更に蛋白質同士が規則正しく凝集し、目に見える大きさの材料を構成します。シルクの中では、蛋白質同士が複雑な相互作用を介して強固に結びつくことによって、人間が作り出した人工物では再現することができない優れた特性を示します。原料となる蛋白質を改変しシルクを再構成することができれば、身近な材料から航空機や宇宙で利用される特殊材料に至るまで、材料科学に革命をもたらすと言われています。しかしながら、現状、我々は蚕やクモのように上手に蛋白質を紡ぐことができていません。当研究室では、個々の蛋白質や蛋白質集団が示す自己組織化能の研究を通じて
この問題にアプローチし、新規蛋白質材料の開発と実用化、ひいては蛋白質材料科学とも呼べる新たな学術分野の開拓を進めています。

X線溶液散乱測定装置、X線結晶構造解析装置、動的光散乱測定装置、分析型超遠心機、顕微/赤外吸収分光装置、円二色性分散計、蛍光光度計、紫外可視分光光度計、低温分光測定システム、燐光寿命計測システム、ナノ秒蛍光寿命計測システム、AFM、共焦点レーザー顕微鏡、全反射蛍光顕微鏡、DNAシーケンサー、PCR、プラスミド調製ロボット、μ流路型自動サンプリングシステム、引張圧縮試験機

研究業績
・K. Yonezawa, N. Shimizu, K. Kurihara, Y. Yamazaki, H. Kamikubo, M. Kataoka ”Neutron crystallography of photoactive yellow protein reveals unusual
protonation state of Arg52 in the crystal” Scientifi c Reports 7,9361(2017)
・H. Kuramochi, S. Takeuchi, K. Yonezawa, H. Kamikubo, M. Kataoka, T.Tahara “Probing the early stages of photoreception in photoactive yellow protein with ultrafast time-domain Raman spectroscopy” Nature Chemistry 9, 660-666(2017)
・Y. Yoshimura, N. A.Oktaviani, K.Yonezawa, H.Kamikubo, F. A. A. Mulder “Unambiguous Determination of the Ionization State of a Photoactive Protein
Active Site Arginine in Solution by NMR Spectroscopy” Angewandte Chemie 56,239-242(2017)
共同研究:国内外での共同研究多数(海外: USA, Denmark等)・民間共同研究(Spiber Inc.)外部資金:新学術領域研究「生命分子システムにおける動的秩序形成と高次機能発現」革新的研究開発推進プログラム ImPACT「超高機能構造タンパク質による素材産業革命」他、科学研究費補助金等

研究室紹介

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