バイオミメティック科学研究室の池田 篤志准教授らの研究成果が,英国王立化学会のChemical Communications誌の表紙を飾りました.

バイオミメティック科学研究室の池田篤志准教授らの研究成果が,英国王立化学会のChemical Communications誌2014年50巻11号の表紙 (Inside cover) を飾りました.
概要
[70]フラーレン(C70)を人工細胞膜のリポソームの膜中に包接させ水溶化することで,がん治療の一つである光線力学治療薬として利用できるものと期待されている.しかし,リポソーム内に C70 を包接させることが従来は困難であった.そこで,我々は水溶性のシクロデキストリンにあらかじめに C70 を包接させることで,高濃度のC70 をリポソーム膜内へ移動させることに成功した.今回,この移動の直接的な証拠として,非常に大きなサイズのリポソームを用いて,C70 がその膜内に入り,膜内で会合体を形成する過程を光学顕微鏡によって観察することに成功した。さらに会合体が激しく膜内を運動し,最終的には会合体同士が寄り集まることが観察された.このとき,C70 会合体が膜から飛び出すことはなかった.これらの知見は,C70 を包接したリポソームの光線力学治療薬の性能向上を目指す際の指針となるのみではなく,C70 が直接細胞膜に入る際の挙動が予測でき,C70 の生体内での毒性を評価する上でも重要となる.
<Chemical Communications誌へのリンク>
http://pubs.rsc.org/en/journals/journalissues/cc#!recentarticles&all
<Inside coverへのリンク>
http://pubs.rsc.org/en/content/articlepdf/2014/cc/c4cc90002b?page=search