1.当グループの活動について

1) 当グループでは、「作業仮説→検証→論理的に考察→次の段階に進む」というプロセスを大事にしています。

 学部や高専の講義では、時間割通りに用意された講義科目の学修ですが、大学院では、自分の考えで計画を立てる訓練を積みます。文系・理系、アカデミア・企業問わず、「根拠や理由を述べて説明する」ということを求められることが多々ありますので、研究討議を通して、そのトレーニングをしてください。

2) 大学院での学修  体験 です。

 当グループの研究テーマは多岐にわたっており、出身者のバックグラウンドもさまざまです。最初は基礎的な合成実験と生化学実験のトレーニングといった定番メニューをこなしながら、各自の希望とグループの状況を考えて、それぞれ独立したテーマでの研究を開始します。

 「
XXをやってみたい」という好奇心は大歓迎です。でも、単に「実験操作の体験」を希望するだけであったり、「有機合成」とか「タンパク質」とか、キーワードだけに飛びつくと、研究テーマについての本質的な理解が不足しているために、後々苦しくなります。

 
個々の実験操作は、あくまでも研究の「手段」です

 したがって、単に研究のキーワードだけを把握するのでなく、その実験手法でどのような展開がなされているのか、詳細な研究内容を、必ず担当教員や修士2年以上の学生さんに聞いてください。その上で、当グループに魅力を感じてもらえると非常にうれしく思います。


3) 1%くらいは自分の頭を使うようにしましょう

 決められた教科書や授業を聞くただけの活動は学部レベルで終わりです。

 大学院という最高学府を出ると、それなりの能力を持ち合わせているという人と見られます。将来恥ずかしい思いをしないように、自発的に基礎知識、文献調査をするようにしてください。(何も言わなくても先生や先輩が教えて「くれる」という意識では学部生と同じです)

 課題解決の労力のうち、1%は自分の頭を使いましょう。一方で、教員や先輩は、みなさんよりも歳をくっている分だけ、経験と知識は持っている(つもりです)。特にM1の間は、
残りの99%は教員や先輩に頼ってもかまいません。後輩の特権を存分に使ってください。頼った分は、来年度以降、後輩に返してください。

4) 大学院で研究に集中できる時間は限られていると認識しましょう。

 NAISTは、いろんな大学や高専から集まった人が、改めて新しい環境とテーマで研鑽を積みます。「修士1年の最初は講義を受講し、、、修士で企業に行くとすれば就活も入り、、、修士2年の2月には修論を提出し、、、」とシミュレーションをすると、デスクで研究の知識や情報を得たり、実験室で実験をする時間は意外と限られています。

 せっかく大学院という最高学府に在籍するのですから、
当グループでは、「研鑽を積む」という大学院生としての本分を務めることを求めます。時間を有意義に使うようにしてください。

5) 通常の研究室生活

 ・ 1限の講義が始まる午前9時20分を活動開始の目安としています。実験の進捗状況やマシンタイムの都合で活動時間をずらす必要があるときは、教員に相談してください。
   --- 「9時20分」は、活動開始時刻です。デスクで朝ごはんを食べたり、コーヒーを飲んだりしているのは「活動開始」とは言いません。
   --- 研究活動のときは、実験結果の解釈、実験の効率化などを常に考えながら集中してやること。

       談笑やお茶時間が長い、スマホいじりばっかりしていると、
担当教員から雷が落ちます。
 
 ・ コアタイムは特に設けていません。

   実験の進捗状況によって、コアタイムを決めるのが難しいので、特にコアタイムを設けていません。
   ただし、研究が進んでいなければ、後々、学生さん本人が慌てることになり、精神衛生上にもよくないことになりかねません。
   
当グループの参加資格は「三度のメシより化学が好きで、作業仮説の検証に必要な実験と論理的思考を進んで行える人」です

   私的な用事を優先させるがために、必要な実験を途中で止めてしまったり貴重な実験試料を無駄にしてしまうようなことをすると、担当教員から雷が落ちます。
 
 ・ 日・祝日の使い方は自由です。健康面からも、休むときはきっちりと休みましょう。

   土曜日は、公式な行事は開催しませんが、担当教員はラボにいますので、特に予定がないのであれば、実験データの整理、レポートの作成、次週の実験の準備、研究に必要な情報検索などの時間に充ててください。
 
 ・ 休日や深夜の単独での実験は、安全面、健康面を考慮して厳禁にしています。

 
・ 就活は、人生で大事なことですから、計画的に行ってください。就活で研究室活動を抜けるときは、前もって連絡するようにお願いしています。
  ただし、大学院生としての本分がおろそかになって、研究活動が停止してしまわないように、時間のやりくりについては相談に乗ります。

 
検討会(研究討論)と輪読および論文抄録会(2022年度は生物有機化学・生物無機化学に関する勉強会と論文紹介): 
  月曜日17:30~ 検討会と輪読/論文抄録会を隔週で実施。

その他、機能超分子化学研究室全体での報告会があります。

2.研究テーマについて

1) まずは、ウェブサイトやガイドブック等で、研究内容の概要について、情報を取得してください。

 多岐にわたる研究内容ですので、「何でもいいから説明してください」と言われても教員は困惑します。まずは概要だけでもご覧になり、どの研究テーマに関して研鑽を積みたいのかを考えてみください。もちろん、絞り切れない場合、研究の難易度、自分のバックグラウンドとどれくらい違うのか、実際にどのような実験をするのかがわからない場合は、その旨を申し出て質問をしてください。遠慮は無用です。
 ただし、「何でもやりたいです、何でも興味があります」という人は少し考えましょう。知的好奇心は認めますが、「実験のやり散らかし」で終わり、結果のまとめが全くできない状態になる可能性があります。

2) 研究テーマによって、実験手法のウェイトは異なります。

 人工金属酵素(触媒)の開発、タンパク質分子機械の創成といったタンパク質工学の研究から、生体高分子の分子論的性質の解明、酵素機能制御といった機能生物学、酵素化学の研究など、主として、合成化学と生化学の実験を両方を行うのが当グループの特徴です。また、機能評価までをカバーしますので、分光学測定のような物理化学的手法も使います。ただし、テーマによって、そのウェイトは異なります。研究テーマの決定は、各人の興味、当グループの状況、学生さんのバックグラウンド(出身分野や卒論での実験内容等)等を考慮しながら、無理せずにtake offできるように、相談の上テーマを決定します。もちろん、上手く行かなさそうなときは、臨機応変にテーマを変更します。研究グループの研究動向が、設定する研究テーマに直結する場合が時々ありますので、最新情報を得るには、当グループ教員にコンタクトをとるのが一番です。

3) 自分のバックグラウンドとは違うけど・・・と思っている方へ

 当グループの教員も、大学院は別の大学に進み、専攻分野を変更した経験をもっていますので、専攻を変更する意欲を応援します。特に、生化学の実験をしたことがなく不安だという人へ。学部、高専本科で化学・物理学に関する標準的なカリキュラムを習得していれば、最初の基礎トレーニングで、当グループでの研究は十分可能です。生化学といっても、当グループでカバーする生化学は、学部や高専で使った有機化学や無機化学の教科書の最後の方に出てくる内容です。一方、修士で大学院を終わることを考えていて、専攻分野の変更を希望している方は注意してください。学部4年、あるいは高専7年間という時間の中で身についた量を考えたときに、自分が、大学院修了というお墨付きをもらえるレベルの事項を2年間で修得しましたと、自信をもって言えそうかどうかは一度考えてみたほうがよいでしょう。

4) 研究成果を世界に発信へ

 当グループの学生さんに在籍した学生さんは、ほぼ全員、何らかの形で学術論文の著者になっています(修了後に発表ということもあります)。がんばって、「あーでもないこーでもない」と議論しながら出した自分の研究成果(たとえ、figureやtableの中の一部でも)を世界の誰かが見ているということに、価値を感じていただきたいと思っています。