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反転層中の量子化電子状態


Project "Quantized electronic states in inversion layer":English version avairable here. https://sites.google.com/site/sntprojects/Projects/hsb

低次元的結晶空間に閉じ込められた電子は次元性に依存した特異な性質を示し、また半導体デバイス中では重要な役割を担っています。 この低次元系の電子物性を理解するには、バンド分散を決定する必要があります。これまで低次元系電子のバンド分散決定は理論的には行われてきましたが 実験的には手法がなく、行われていませんでした。 本グループでは、低次元系の電子バンド分散を実験的に決定する方法を編み出し、既存の理論の検証を行っています。

半導体表面に金属を1原子層程度吸着させると、表面超構造という特殊な構造ができます。この表面超構造はそれ自体さまざまな現象を示し面白いのですが 本プロジェクトでは表面超構造が電子状態密度に応じて正や負に帯電しやすくなる性質を積極的に利用します。
表面を帯電させる余剰電荷を源とする電場は、半導体内部に侵入し、半導体内部ではこの電場侵入を防ごうと表面近傍に電荷が集まったり 表面から遠ざかったりします。この表面近傍の電荷の再分布領域を空間電荷層といいます。
電場侵入長は半導体のキャリア濃度が高いほど短くなり、急峻な反転層が形成されます。 本プロジェクトは、「表面超構造と半導体基板キャリア濃度を調整すればさまざまな反転層を形成可能なこと」「この反転層中のバンド分散なら角度分解光電子分光で測定可能なこと」 の2点に気づいた2001年から始まりました。これまでにさまざまな半導体中の反転層中の2次元電子系のサブバンド分散を測定し、実験手法の検証を行い、現在は理論の検証を行っています。
       

日本語解説記事

[1] Si反転層中のホールサブバンド分散(シリコンテクノロジー 2008) pdf

[2] 表面超構造を用いた半導体量子井戸作製と井戸中の電子状態の測定(機能材料 2006) pdf

論文

[1] S. N. Takeda, N. Higashi, H. Daimon, "Visualization of In-Plane Dispersion of Hole Subbands by Photoelectron Spectroscopy" Phys. Rev. Lett. 94, 037401 (2005)
(ARPESでサブバンド分散測定できるってわかった!)

[2] M. Morita, S.N. Takeda, M. Yoshikawa, A. Kuwako, Y. Kato, H. Daimon, "ARPES measurements on Si(111) hole subband induced by Pb and Ga adsorption", Appl. Surf. Sci.,254, 7872 (2008)
(In/Si以外でもサブバンド見えるよ、普遍的な現象だよ。)

[3] Y.Tanigawa, S. N. Takeda, M. Morita, T. Ohsugi, Y. Kato, H. Daimon, M. Yoshimaru, T. Imamura, "Hole Subband Dispersion in Space Charge Layers under Pb/Si(001) Surfaces Measured by Angle-Resolved Photoelectron Spectroscopy" e-J.Surf. Sci. Nanotech. 7 641 (2009)
 (Si(111)だけでなくSi(001)面でもサブバンド見えるよ。普遍的な現象だよ。)

[4] S. N. Takeda, N. Higashi, H. Daimon, "Effect of surface carrier concentration on valence subbands in Si(111) p-type inversion layers: Angle-resolved photoemission spectroscopy" Phys. Rev. B 82, 035318 (2010)
(表面の吸着金属換えてもサブバンド分散は変わらない。表面の金属はサブバンド分散に影響していない。)

[5] N. I. Ayob, S. N. Takeda, T. Sakata, M. Yoshikawa, M. Morita, H. Daimon, "Unusual energy separation of subbands in Si(111) p-channels induced by In adsorption" Jpn. J. Appl. Phys. 54 065702 (2015)
(サブバンド準位間隔がおかしなことがある。これは表面からのドーパント抜けで説明できる)

[5] T.Sakata, S. N. Takeda, N. I. Ayob, H. Daimon, "Effect of the Flash Annealing on the Impurity Distribution and the Electronic Structure in the Inversion Layer", e-J. Surf. Sci.Nanotech. 13 75 (2015)
(サブバンド準位間隔がフラッシュ毎に変わってゆくのはドーパントがフラッシュで抜けてゆき、反転層幅が広くなってゆくからであることの証明。)

[7] S. N. Takeda, A. Kuwako, M. Nishide, H. Daimon, "Disentangling hole subbands dispersion in Si(111): In- and out-of-plane effective masses and anisotropy" Phys. Rev. B 93, 125418 (2016)
(サブバンドの面内有効質量と面直有効質量を明らかにした。バルクバンドとサブバンドで有効質量が異なることを見出した。)

[8] T. Sakata, Sakura N. Takeda*, Hiroshi Daimon, "Interband interaction between bulk and surface resonance bands of a Pb-adsorbed Ge(001) surface." Semiconductor Science and Technology 31 085012-1-5 (2016).
 (Geのサブバンド狙いでPbをつけて測定してみたよ。サブバンドは見えなかったけど変な電子状態が見えたよ。)

[9] Artoni Kevin R. Ang, Sakura N. Takeda*, Hiroshi Daimon, "Bi induced superstructures on Si(110)." Journal of Vacuum Science & Technology A 34, 051401-1-6 (2016)
(Si(110)のサブバンド狙いでBi吸着Si(110)表面の表面超構造をRHEEDで決定したよ。)

この分野について勉強するには...

キーワード: 半導体、バンド分散、量子井戸、角度分解光電子分光、半導体表面、表面超構造

参考書

「半導体の物理」御子柴宣夫 (培風館)

「超格子ヘテロ構造デバイス」江崎玲於奈/榊裕之 (工業調査会) (培風館)

「固体物理学入門」キッテル (工業調査会) (丸善)

「Physics of Optoelectronics Devices」Shun Lien Chuang  (Wiley)

「Semiconductor Surfaces and Interfaces」Winfried Moench (Springer)

 

論文

T. Ando, AB Fowler, F Stern Reviews of Modern Physics, 1982 "Electronic properties of two-dimensional systems" この総説論文を「バイブル」と呼ぶ何人もの関係者に出会った。 "In the review by Prof. Ando, Fowler, Stern..." " Oh, the bible, I know, and?" といった具合である。サブバンド班の人は読むべし。

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