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生体プロセス工学研究室

教員・キャッチフレーズ

教授:細川 陽一郎
准教授:Yalikun Yaxiaer
助教:釣 優香
特任助教:丹賀 直美

研究室URL: https://mswebs.naist.jp/LABs/env_photo_greenbio/index.html

究極の細胞操作に、先端のレーザー技術とマイクロチップ技術で挑む

研究を始めるのに必要な知識・能力

本研究室では物理学、生物学といった分野や従来の概念にとらわれない広い視野で、まったく新しい研究課題へ取り組もうとするチャレンジ精神を重視します。

研究室の指導方針

学生本人の研究背景とモチベーションを考慮しながら、超短パルスレーザー技術とマイクロ流体デバイス技術を中心とした細胞の操
作・解析に関するテーマを設定し、より深い専門性を身に付けます。また異分野の共同研究者とも積極的に関わり、分野横断的な研究を推進するマネジメント能力とコミュニケーション能力を育成します。国内外の学術会議にも参加し、自らの研究課題を順序だてて説明できるプレゼンテーション能力を養います。

この研究で身につく能力

基本的な顕微鏡、光学システムや、細胞培養などの生体試料の扱いを習得します。その上で超短パルスレーザーが引き起こす諸現象
とマイクロ流体技術や光センシング技術を組み合わせた、細胞や生体組織の新しい操作・計測技術の開発や、レーザーが生体試料に
もたらす物理的・分子生物学的作用に関する理解を深め、物理・科学から生物・医学にわたる広い知見から、独自の観点で研究を進められる力を身に付けます。

修了生の活躍の場

電気・精密機械メーカーを中心とした企業研究開発職一般

研究内容

当研究室では、レーザーによる微小物体操作技術とマイクロ流体デバイスによる流体制御技術を使って、これまでに細胞同士の接着力測定や、狙った細胞への遺伝子導入など、従来法を駕する細胞の操作・制御計測手法の開発と研究に取り組んでいます。1000兆分
の1秒という極めて短い時間に光を局在させた超短パルスレーザー(フェムト秒レーザー)を顕微鏡下で集光すると、光のエネルギーが時間的・空間的に極限まで集中されます。この高い光エネルギーを水中に作用させるとレーザーの集光点でマイクロ秒スケールの爆発現象が引き起こされ、微小空間に衝撃力が伝搬します。当研究室は、このフェムト秒レーザー誘起衝撃力をミクロな世界で生体試料を操るための"手"とする研究で世界的なイニシアチブをとっており、これにマイクロ流体デバイス、光センシング、原子間力顕微鏡などを融合し、世界でも例を見ない斬新な微小物体位の操作・計測技術の開発と研究を進めています。

1)超短パルスレーザーと原子間力顕微鏡を組み合わせた細胞・生体材料の操作と評価
 超短パルスレーザーが誘起する衝撃力を細胞や微小生体試料に作用させたり、レーザー光や衝撃力が材料に及ぼす影響を原子間力
顕微鏡や分光・イメージングにより検出したりすることで、細胞、微細な生体試料、分子性結晶などの新しい操作方法や計測方法を開発しています。これまでに数多くの世界的に斬新な細胞操作・計測方法を提案し、多くの医学・生物学分野の研究者と連携して研究を進めています。

2)レーザー操作技術とマイクロ流体デバイスを駆使した細胞分取装置の開発 
 近年、超短パルスレーザーの操作性が飛躍的に向上し、医療・生物学分野の研究者にも容易に利用できる装置になり、その用途が
拡大しています。当研究室では、超短パルスレーザーが誘起する衝撃力を利用してマイクロ流体デバイスを流れる細胞を超高速で分取可能な革新的な医療・バイオ機器の開発研究にも取り組んでいます。

3)超短パルスレーザーを用いた培養細胞加工装置の開発
 超短パルスレーザーを利用した加工技術は、金属、半導体、プラスチックなどの材料分野だけでなく、生きた細胞・生体の処理にも適しており注目されています。当研究室では培養細胞への外来分子導入も含めた新しい装置として、超短パルスレーザーを用いた顕微鏡加工装置の技術開発に取り組んでいます。


Fig-1.png
図1 レーザー誘起衝撃力によって細胞、分子性結晶に振動を誘導し、原子間力顕微鏡(AFM)で検出します。AFMにより検出されたナノレベルの振動を解析し、新しい操作や計測方法を開発します。
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図2 レーザー誘起衝撃力を利用した高速細胞分取、マイクロ流体デバイス中を高速に流れる細胞を高速イメージングにより選別します。この方法により世界最速の分取装置の開発に挑んでいます。
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図3 例えばレーザーで狙った細胞に外来分子を入れることで、標的とする細胞の性質をモニターしたり分化誘導したりする人工制御が可能になります。

研究設備

顕微フェムト秒レーザー照射システム(高出力フェムト秒レーザー、顕微鏡、高速カメラ)、共焦点顕微分光システム、原子間力顕微鏡、細胞培養施設

共同研究

本学バイオサイエンス・情報科学領域、理化学研究所、大阪大学、京都大学、東京大学、近畿大学、国立陽明交通大学(台湾)、パリサクレ大学、マッコーリー大学(オーストラリア)など