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マテリアルズ・インフォマティクス研究室

教員・キャッチフレーズ

教授:藤井 幹也
准教授:高山 大鑑
助教:原嶋 庸介
特任助教:高須賀 聖五

研究室URL: https://sites.google.com/view/naist-mi

デジタル技術の力で、物質の新しい学理を見出し、新材料創成を実現する未踏領域の開拓に挑戦しましょう。2021年スタートの研究室ですので、新しいチームをつくりあげることが好きな皆さんの参画を待っています。

研究を始めるのに必要な知識・能力

新しい学術領域を切り開く好奇心、失敗を恐れない行動力、チームメンバーへのオープンマインド。そして、物理、化学、情報のいずれかの基礎知識を持ち、C言語やPythonなど何らかのプログラム言語が利用可能なことが望ましいです。

研究室の指導方針

機械学習、深層学習、計算物質科学手法、そして実験的手法を用いて、物質理解および新材料開発を推進する研究力を指導します。これらデジタル技術とリアル技術を融合する力はこれからのアカデミアにも、インダストリーにも必要な研究力です。マテリアルズ・インフォマティクスは学際領域ゆえ、物質科学出身者や情報科学出身者など多様な研究者がいます。研究室では各学生がもつバックグラウンドを重視し、論文輪講セミナーや研究ディスカッションなどを通して科学的思考様式と実践力の養成を指導方針とします。

この研究で身につく能力

物質科学と情報科学の能力が身につきます。物質科学に関しては、原子・電子のスケールから量子力学の原理に従って物質を理解できるようになります。具体的には、第一原理計算などの計算物質科学から実験的手法まで精通することができ、学術界での研究者や製造業での技術者として活躍する基礎になります。情報科学については、基礎的なデータ解析手法や統計的手法、そして機械学習や深層学習の能力が身につきます。これらは、修了後に物質科学に限らず様々な分野で皆さんが活躍できる礎になるでしょう。また、研究者・技術者として特定の学問領域を深く突き詰める力と、研究開発リーダーとして必要な学問領域を横断で俯瞰する能力の双方を身につけられるよう指導します。

修了生の活躍の場

2021年スタートの研究室ですのでまだ修了生はいませんが、藤井はIT企業や総合電気メーカーでの研究開発経験がありますので、産学両面から修了後の進路を考えて指導します。実際、過去に指導した学生はIT企業や製造業、そしてアカデミアのそれぞれで活躍しています。

研究内容

これまで、デジタル技術を用いて物質が機能発現する機構の解明および新しい機能性材料の設計を行ってきました。機構解明については主に計算物質科学手法を用いており、機能性材料の設計には機械学習・深層学習の手法を用いてきました。今後は、実験的研究も開始し、デジタル技術とリアル技術を高度に融合した研究を開拓していきます。

  1. 機械学習・深層学習による物性予測と材料設計
    機械学習による材料特性を予測・推定する手法を開発しています。これにより第一原理計算では難しい大規模系のエネルギー推定を可能にしました(図1,[6])。また、所望特性を備えた材料の設計のために、適対的生成ネットワーク(Generative Adversarial Network)を用いた化学組成式の生成モデルを提案しました。(図2,[2])

  2. 実験的研究による材料特性の解明
    デジタル技術をもとに設計した物質材料を実際に合成します。また、合成した物質の特性を、平衡論、速度論、および分光学的手法を用いて解明し、帰納的に科学現象を理解することを目指します。無機化合物を例にすると、半導体光触媒を用いたCO 2の還元反応(人工光合成)について、CO 2を効率良く還元する条件を実験的研究によって明らかにしました(図3[4])。

  3. 実験データとシミュレーションデータの同化
    物質科学は実験と理論の両面から発展してきました。データ同化は実験データと理論データを統合し、その相乗効果で物性の高精度予測を実現することができます(図4)。先行研究ではデータ同化を永久磁石化合物に適用し、磁気特性の温度および化学組成依存性の高精度予測を実現しました[1]。

    今後は『異種データ統合』を基本概念として複数の材料系、複数の物性の新しい関係性を見出す研究を展開していきます。一般に、理解するとは、複数の概念間の関係性を見つけ、言語化・定式化していく活動です。自然科学は帰納的な手法と演繹的な手法の双方を両輪としてこの関係性を法則として定式化することで発展してきました。第一原理計算や分子動力学計算といった計算物質科学手法は自然科学法則を原理として演繹的に物質を理解する代表的なものです。一方で、実験科学やデータ科学の強みはデータから帰納的に関係性を見出すところにあります。特に、データ科学の強みをもとに異なる材料系や異なる物性間の新しい関係性を発見することを私達は目指します。特に、データ同化、転移学習、マルチタスク学習、マルチモーダル学習などの手法に注目して研究を展開していきます。
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図1 機械学習・深層学習による物性予測と材料設計
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図2 化学組成式の生成モデル



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図3 実験的研究による光触媒的CO2還元反応の機構解明
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図4 データ同化の概念図

研究業績・共同研究・社会活動・外部資金など

研究業績(2019年以降)

  1. Y. Harashima, K. Tamai, S. Doi, M. Matsumoto, H. Akai, N. Kawashima, M. Ito, N. Sakuma, A. Kato, T. Shoji, and T. Miyake, "Data Assimilation Method for Experimental and First-Principles Data: Finite-Temperature Magnetization of (Nd,Pr,La,Ce)2(Fe,Co,Ni)14B", Phys. Rev. Materials, 5, 013806, (2021)
  2. Y. Sawada, K. Morikawa and M. Fujii, "Conditional Generative Adversarial Networks for Inorganic Chemical Compositions", accepted in Chem. Lett.(2020)
  3. Y. -J. Wu, T. Tanaka, T. Komori, M. Fujii, H. Mizuno, S. Itoh, T. Takada, E. Fujita, and Y. Xu, "Essential structural and experimental descriptors for bulk and grain boundary conductivities of Li solid electrolytes", STAM, 21,712-725 (2020)
  4. S. Yoshino, T. Takayama, Y. Yamaguchi, A. Iwase, and A. Kudo, "CO 2 Reduction Using Water as an Electron Donor over Heterogeneous Photocatalysts Aiming at Artificial Photosynthesis", Acc. Chem. Res., Ahead of print (2022), DOI: org/10.1021/acs.accounts.1c00676
  5. E. Kawashima, M. Fujii, and K. Yamashita, "Entropy Promotes Charge Separation in Bulk Heterojunction Organic Photovoltaics", J. Photochem.Photobiol. A: Chemistry, 382, 111875, (2019)
  6. E. Kawashima, M. Fujii, and K. Yamashita, "Simulation of Conductive Atomic Force Microscopy of Organic Photovoltaics by Dynamic Monte Carlo Method", Chem. Lett., 48, 513-516, (2019)
  7. M. Kaneko, M. Fujii, T. Hisatomi, K. Yamashita, and K. Domen, "Regression model for stabilization energies associated with anion ordering in perovskite-type oxynitrides", J. Ene. Chem., 36, 7 - 14, (2019)

社会活動

①理論化学会幹事(藤井:2019年~)
②計算物質科学協議会運営委員(藤井:2020年10月~ 2022年3月)