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有機光分子科学研究室の黒崎澪さん(博士後期課程1年)が2020年web光化学討論会にてポスター賞を受賞

受賞概要

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2020年9月9−11日にオンラインで開催された光化学協会主催による2020年web光化学討論会において、有機光分子科学研究室の黒崎澪さん(博士後期課程1年)が優秀学生発表賞(ポスター)を受賞し、2020年9月23日に表彰されました。同賞は、研究内容並びに発表において特に優秀であることが認められたものに、その成果を称えることを目的として、授与されるものです。本年度は、258件のポスター発表の中から10件が受賞しました。


研究題目・論文タイトル

高歪み環状ピレン3量体の特異な光物性

研究者・著者

黒崎 澪・畑中 美穂・山田 容子・荒谷 直樹

受賞者コメント

この度、2020年web光化学討論会において、優秀学生発表賞を受賞することができ大変光栄に存じます。今回の受賞に際し、日頃より熱心にご指導してくださっている山田先生、荒谷先生をはじめとする研究室の先生方、計算化学について共同研究を快く受け入れてくださったマテリアルズ・インフォマティクス研究室(現慶応大学理工学部)の畑中先生、および、日常的に研究生活を支えてくださっている研究室の皆様に厚く感謝致します。今回の受賞を励みとし、今後の更なる発展を目指して真摯に研究活動に邁進したいと思います。

受賞対象となった研究の内容

遷移金属試薬を用いた歪み誘起炭素-炭素結合の活性化は長期にわたり研究されています。本研究では、環状ピレン3量体(CP3)の合成、単離に成功し、炭素-炭素結合間の酸素挿入反応を初めて達成しました。単結晶X線構造解析により明らかにしたCP3の構造は高度に歪んでおり、近接化によるピレン間の強力な電子的相互作用のため、全ピレン系発光団の中で最も長波長である599 nmのオレンジ色発光を示しました。この歪みエネルギーを駆動力として、室内光下で炭素-炭素σ結合間に酸素原子が挿入することを明らかにし、その反応機構を量子化学計算によってCP31O2との結合生成-開裂反応で矛盾なく説明できることを突き止めました。

今回の発表の元となった論文
A remarkably strained cyclopyrenylene trimer that undergoes metal-free direct oxygen insertion into the biaryl C-C σ-bond, Ryo Kurosaki, Hironobu Hayashi, Mitsuharu Suzuki, Julong Jiang, Miho Hatanaka, Naoki Aratani and Hiroko Yamada; Chem. Sci. 2019, 10, 6785-6790.


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