物性情報物理学研究室の服部准教授の研究論文に関連する記事が科学新聞(12月17日 第3854号)に掲載されました。
論文の概要
奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科の服部賢准教授は、大阪大学産業科学研究所の大坂藍特任助教、服部梓准教授、田中秀和教授、大阪大学大学院工学研究科の藤大雪助教、山内和人教授、大連交通大学(中国)の郭方准教授らと共同で、薄膜成長の土台となる単結晶基板(成長用基板)に原子の乱れを完全に除去した理想的な究極平坦表面(完全結晶表面)の作製に成功しました。完全表面基板上では強相関酸化物であるマグネタイト(Fe3O4)極薄膜(膜厚:50 nm)の優れた伝導特性(転移特性)が観察されました。
発表論文へのリンク
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsanm.1c02634
掲載対象となった内容
マグネタイトは金属-絶縁体転移(フェルベー転移)によりその電気伝導度が大きく変わることが知られており、基礎と応用の両面から注目されている材料です。ナノエレクトロニクスデバイス応用の観点から転移特性を示すマグネタイト極薄膜の作製が求められていましたが、成長用基板の粗さ、欠陥が原因となり結晶品質が劣化するため実現していませんでした。しかし、本グループの持つ特殊な研磨技術を用い完全結晶表面を成長用基板に作製することで、欠陥数が大幅に減少し、マグネタイトが本来持つ優れた転移特性をもつ極薄膜の作製を成功しました。極薄膜でも材料本来の優れた機能を実現する基板加工技術として、ナノエレクトロニクスデバイスへの応用が期待される材料群への汎用的展開が期待されます。
本研究の遂行にあたり、文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム事業におけるX線回折装置(奈良先端科学技術大学院大学、片尾昇平技術職員)を利用し、表面平坦性評価を行いました。
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