1. ホーム
  2. Topics
  3. 教育・研究成果
  4. 有機光分子科学研究室の黒崎澪さん(博士前期課程2年)が第30回基礎有機化学討論会にてポスター賞を受賞

有機光分子科学研究室の黒崎澪さん(博士前期課程2年)が第30回基礎有機化学討論会にてポスター賞を受賞

受賞概要

3212b98c89971b31572eea2907548207.png

2019年9月25−27日に大阪国際交流センターにて開催された基礎有機化学会主催による第30回基礎有機化学討論会(第49回構造有機化学討論会・第69回有機反応化学討論会)において、有機光分子科学研究室の黒崎澪さん(博士前期課程2年)がポスター賞を受賞し、2019年9月27日に授賞式が行われました。同賞は、基礎有機化学分野(構造有機化学、反応有機化学、ホストゲスト化学、超分子化学)の最新研究に関する成果発表を行い、独自性・今後の発展性・プレゼンテーション内容および質疑応答などの観点から優れた発表を表彰するものです。本年度は、144件の審査対象ポスターの中から24件の受賞者が選考されました。

研究題目・論文タイトル
高歪み[3]シクロ-1,8-ピレニレンの合成と炭素-炭素結合開裂反応
研究者・著者
黒崎 澪・畑中 美穂・荒谷 直樹・山田 容子

受賞者コメント

この度、伝統ある基礎有機化学討論会において、栄えある賞を頂き、大変光栄です。今回の受賞に際し、日頃より熱心にご指導してくださっている山田先生、荒谷先生をはじめとする研究室の先生方、計算化学について共同研究を快く受け入れてくださった本学マテリアルズ・インフォマティクス研究室の畑中先生、および、日常的に研究生活を支えてくださっている研究室の皆様に厚く感謝致します。今回の受賞を励みとし、より一層研究活動に精進したいと思います。

受賞対象となった研究の内容

π共役系環状化合物は包接錯体のホスト分子やセンサー、非線形光学材料など様々な応用が期待されており、現在注目を集めています。また、ピレンは大きなπ平面かつ高い発光能を有しており、ピレンを有するπ共役系環状化合物はこれまでにもいくつか報告されています。本研究では、1,8-ジブロモピレンのカップリング反応により、新しい直接結合型環状ピレン3量体(CP3)の合成に成功しました。単結晶X線構造解析により明らかにしたCP3の構造は高度に歪んでおり、近接化によるピレン間の強力な電子的相互作用のため、全ピレン系発光団の中で最も長波長である599 nmのオレンジ色発光を示しました。さらに、この歪みエネルギーを駆動力として、室内光下で炭素-炭素σ結合間に酸素原子が挿入することを明らかにしました。本反応は高歪み化合物を利用した一重項酸素のセンシングおよび新しいエーテル合成法としても有用です。

今回の発表の元となった論文

A remarkably strained cyclopyrenylene trimer that undergoes metal-free direct oxygen insertion into the biaryl C-C σ-bond, Ryo Kurosaki, Hironobu Hayashi, Mitsuharu Suzuki, Julong Jiang, Miho Hatanaka, Naoki Aratani and Hiroko Yamada; Chem. Sci. 2019, 10, 6785-6790.

有機光分子科学研究室のホームページはこちらをご覧ください。