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ナノ高分子材料研究室の熊本成美さん(博士後期課程2年)が第65回高分子研究発表会(神戸)においてエクセレントポスター賞を受賞

受賞概要

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2019年7月12日(金)に兵庫県民会館(神戸市)にて開催されました第65回高分子研究発表会(神戸)において、ナノ高分子材料研究室の熊本成美さん(博士後期課程2年)が、「エクセレントポスター賞」を受賞しました。本学会のポスター発表者では、第一著者で、30才以下の高分子学会会員を対象に審査が行われました。6名の審査員により、審査対象の99件の発表に対して、9件がエクセレントポスター賞として選出されました。

研究題目・論文タイトル
反応性末端を有するクエン酸を用いた新規開始剤によるポリ乳酸の合成
研究者・著者
熊本成美(D2)・網代広治(教授)

受賞者コメント

この度は第65回高分子研究発表会(神戸)において、エクセレントポスター賞を賜り、大変光栄に存じます。今回の受賞にあたり、熱心にご指導を賜りました網代教授、ナノ高分子材料研究室の皆様に心から感謝申し上げます。並びに測定にあたり多大なご協力を賜りました技術職員の皆様に厚く御礼申し上げます。この度の受賞を励みとし、より一層研究に邁進して参ります。

受賞対象となった研究の内容

【緒言】 生分解性高分子の一つであるポリ乳酸(PLA: Polylactide)は、石油由来合成高分子の代替物として期待されている。一方で、力学的強度および機能性の点においては、まだ課題が残されている。解決策として、L体(PLLA)およびD体 (PDLA)を混合することで形成されるPLAステレオコンプレックス(PLA-sc)があり、耐熱性や力学的強度が向上することが知られている。また、我々の研究室では、末端修飾により抗菌性などをもつ様々な機能性PLA-scおよびPLAを報告してきた。本研究では、末端修飾の候補としてクエン酸(CA: Citric acid)に着目した。柑橘類に多く含まれているCAは、ヒドロキシ酸の一つである。主に架橋剤などとして利用されることが多いが、ポリ乳酸の開始剤として用いられた報告例は数少ない。そこで、CAを用いて反応性末端としてアリル基を導入した新規開始剤(TACA: Triallyl citrate)を合成し、ラクチドの開環重合により末端に導入することで、新規末端修飾ポリ乳酸(CA-TACA)の合成に取り組んだ。

【実験方法】 TACAはCAとAllyl bromideをScheme 1に示した方法により合成した。その後、TACAを開始剤として、オクチル酸スズを触媒とし、ラクチドの開環重合により新規末端修飾ポリ乳酸の合成を行った。構造決定には1H NMRおよびMSなどを用いた。

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Scheme 1  The synthesis method of the initiator for this study: TACA.

実験結果】 TACAを合成後、1H NMRおよびMSにより構造を確認した。次に、PDLA-TACAの合成を行い、再沈殿により残存する未反応のラクチド及びTACAを除去した。そして、Fig. 2および3に示したように1H NMRおよびMSの結果から、PDLA-TACAの合成に成功したことが示唆された。

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