1. ホーム
  2. Topics
  3. 教育・研究成果
  4. 量子物理工学研究室の白鳥 大毅さん(博士後期課程3年)、Prom Kantuptimさん(博士後期課程2年)、市場 賢政さん(博士前期課程2年)、坂口 大貴さん(博士前期課程1年)、西川 晃弘さん(博士前期課程1年)、林 泰世さん(博士前期課程1年)が応用物理学会 極限的励起状態の形成と量子エネルギー変換研究グループ第7回研究会 兼 第23回次世代先端光科学研究会において講演奨励賞及び若手奨励賞を受賞

量子物理工学研究室の白鳥 大毅さん(博士後期課程3年)、Prom Kantuptimさん(博士後期課程2年)、市場 賢政さん(博士前期課程2年)、坂口 大貴さん(博士前期課程1年)、西川 晃弘さん(博士前期課程1年)、林 泰世さん(博士前期課程1年)が応用物理学会 極限的励起状態の形成と量子エネルギー変換研究グループ第7回研究会 兼 第23回次世代先端光科学研究会において講演奨励賞及び若手奨励賞を受賞

受賞概要



0809元データ.png

2022年8月1-3日に石川県にて開催された「応用物理学会 極限的励起状態の形成と量子エネルギー変換研究グループ第7回研究会 兼 第23回次世代先端光科学研究会」において、量子物理工学研究室の白鳥 大毅さん(博士後期課程3年)が応用物理学会 極限的励起状態の形成と量子エネルギー変換研究グループ 講演奨励賞を受賞しました。同賞は43件の発表から3件の優秀な発表に対し表彰されました。また、Prom Kantuptimさん(博士後期課程2年)、市場 賢政さん(博士前期課程2年)、坂口 大貴さん(博士前期課程1年)、西川 晃弘さん(博士前期課程1年)、林 泰世さん(博士前期課程1年)が次世代先端光科学研究会若手奨励賞を受賞しました。同賞は40件の発表の中から7名の優秀者に授与されました。

【左から白鳥さん (D2)、市場さん (M2)、坂口さん (M1)、林さん (M1)、西川さん (M1)、Promさん (D2)、河口准教授】



〇研究題目・論文タイトル

・(白鳥)Lu2O3-Al2O3-SiO2系ガラスにおけるLu/Al比の発光特性との相関

・(Prom)Scintillation characteristics of Tb-doped rare-earth pyrosilicate single crystals

・(市場)Al4SiO8単結晶のドシメータ特性におけるEu濃度依存性

・(坂口)Tb添加Na3AlF6透明セラミックスドシメータのTb濃度依存性

・(西川)銀添加Cs2O-SrO-Al2O3-P2O5ガラスにおけるラジオフォトルミネッセンス特性の銀濃度依存性

・(林) Mg4(Ta,Nb)2O9単結晶シンチレータの合成と発光量評価


〇研究者・著者

・白鳥 大毅 (D3), 中内 大介 (特任准教授), 加藤 匠 (助教), 河口 範明 (准教授), 柳田 健之 (教授)

・Prom Kantuptim (D2), 加藤 匠 (助教), 中内 大介 (特任准教授), 河口 範明 (准教授), 渡辺賢一 (九州大), 柳田 健之 (教授),

・市場 賢政 (M2), 竹渕 優馬 (D2), 加藤 匠 (助教), 中内 大介 (特任准教授), 河口 範明 (准教授), 柳田 健之 (教授)

・坂口 大貴 (M1), 福嶋 宏之 (D3), 加藤 匠 (助教), 中内 大介 (特任准教授), 河口 範明 (准教授), 柳田 健之 (教授)

・西川 晃弘 (M1), 白鳥 大毅 (D3), 加藤 匠 (助教), 中内 大介 (特任准教授), 河口 範明 (准教授), 柳田 健之(教授)

・林 泰世 (M1), 市場 賢政 (M2), 中内 大介 (特任准教授), 加藤 匠 (助教), 河口 範明 (准教授), 柳田 健之 (教授), 渡辺賢一(九州大)

受賞者コメント

(白鳥)このような栄えある賞に選出していただき、大変光栄に存じます。これは偏に柳田教授をはじめとした先生方、ご協力くださった皆様方のご指導の賜物であると深く感謝しております。

(Prom)I would like to present my sincere gratitude to professor Yanagida, professor Watanabe of Kyushu university, and the applied quantum physics laboratory staff for academic support. This study is a collaborative project between NAIST and Kyushu University, and it was a great opportunity to work with 2 professors at the same time. This award will encourage me to keep doing and improving the quality of the research. Finally, I would like to share this award with my friends at the applied quantum physics laboratory and my friends at NAIST who do their best effort during this difficult time of the COVID-19 pandemic.

(市場)このような素晴らしい賞を賜り大変光栄でございます。日頃からご助力くださいました柳田先生をはじめとする教員方,先輩方に深く感謝を申しあげます。今後も一層研究活動に精進して参ります。

(坂口)この度は次世代先端光科学研究会若手奨励賞を頂き、大変光栄に思います。日頃よりお世話になっております共著者の皆様に深く御礼申し上げます。本受賞を励みとして今後の研究に邁進していきたいと思います。

(西川)この度は第23回次世代先端光科学研究会若手奨励賞を頂き、大変光栄に存じます。日頃よりお世話になっております共著者の皆様に深く御礼申し上げます。この受賞と皆様に頂いた貴重なご意見をもとに、これからの研究に邁進する所存です。

(林)この度は次世代先端光科学研究会 若手奨励賞を頂戴し、誠に光栄に存じます。ご指導・ご協力いただいた共著者の皆様に御礼を申し上げます。この受賞を糧に、これからより一層、研究活動に尽力する所存でございます。


受賞対象となった研究の内容

(白鳥)ガラスは様々な工業的利点故に多様な応用展開を有する魅力的な材料であるが、放射線(X・γ線)検出用途においては未だ実応用例がなく、放射線照射により高効率で発光を呈する重元素系ガラスの開発が求められている。我々の先行研究によりCeを微量添加したLu2O3-Al2O3-SiO2系ガラスはX・γ線照射時に比較的高い発光量を示すことがわかっているが、組成比が異なると発光特性が大きく変化するなど、未解明な点も多く残存しており、本質的な理解が必要であった。本研究では異なる組成比をもつ当該ガラス系における構造の変化と発光特性の相関関係を調査し、ガラス中のAlOx (x = 4-6) ユニットがCeイオン発光の収率に強く関与すること、AlOx (x = 4-6) ユニットが多いほどシンチレーション光量の増加をもたらすことを明らかにしたことで、今後のガラスシンチレータ設計の指針となる重要な知見を得た。

(Prom)A series of 1.0% Tb-doped rare-earth pyrosilicate single crystals including Lu2Si2O7, Y2Si2O7, Gd2Si2O7, and La2Si2O7 has been prepared by the floating-zone method. After the phase confirmation by powder X-ray diffraction, the photoluminescence and scintillation properties were evaluated. Under γ-ray irradiation from 137Cs, Tb-doped Gd2Si2O7 showed scintillation light yield of 95,600 ph/MeV , which is considered to be one of the highest values among the oxide scintillator.

(市場)ドシメータ材料は放射線のエネルギーを一時的に蓄積し、光や熱などの外部刺激を加えることで発光を呈する物質です。この特性から、個人被ばく線量計やイメージングプレートなどが応用例として挙げられます。本研究では、Eu添加Al4SiO8単結晶をフローティングゾーン法により作製し、そのドシメータ特性の評価を行いました。その結果、同材料が市販のドシメータ材料と比較して高い発光強度を有することが明らかになりました。

(坂口)ドシメータ材料とは放射線によるエネルギーを一時的に蓄え、熱や光などの外部刺激によって発光する材料であり、個人被ばく線量計などに応用されています。軽元素で構成されたフッ化物材料は、実効原子番号が人体軟組織の値と近く、ドシメータ材料として有望な材料であるため、これまでに多くの研究が行われてきました。そこで本研究ではTb濃度の異なるNa3AlF6の透明セラミックスを作製し、熱および光刺激蛍光特性について評価しました。Tb濃度が1%のサンプルで最大の熱刺激蛍光強度を示し、一般的に用いられているドシメータ材料より低線量まで測定可能であることを明らかにしました。

(西川)Ag添加リン酸塩ガラスはラジオフォトルミネッセンス (RPL) 現象を示すことで有名な材料です。RPLは放射線照射時に材料中に新たな発光中心が生じる現象の総称であり、医療現場などで個人線量計として利用されています。本研究ではRPLのX線イメージング応用を目的として、商用RPLガラスを重元素化したCs2O-SrO-Al2O3-P2O5系に着目し、異なる濃度のAgを添加した試料の発光特性および実デバイス特性を比較調査しました。当該ガラスの中でも、高濃度のAgを含有した試料で顕著なRPL特性が観測でき、市販品と同等以上の高い空間分解能を有することが明らかになりました。

(林)シンチレータは放射線のエネルギーを吸収し、即時的に発光を呈する物質で、X線CTなどの医療診断装置やX線手荷物検査装置に応用されています。Mg4(Ta,Nb)2O9は実効原子番号が大きいためX・γ 線検出用シンチレータとして有望な候補材料であることから、本研究ではMg4(Ta,Nb)2O9単結晶を育成しTaとNbの含有量を変化させ、フォトルミネッセンスおよびシンチレーション特性の評価を行いました。その結果、Mg4Ta1.0Nb1.0O9が代表的な重元素シンチレータであるBi4Ge3O12の約3倍の発光量を示すことが明らかになりました。


量子物理工学研究室のホームページはこちらをご覧ください。