植物細胞への細胞外物質の導入手法の確立
我々は、植物細胞への細胞外物質の導入手法の確立を試みています。従来、植物細胞内への細胞外物質の導入技術として用いられてきた手法には、ジーンガン法やアクロバクテリウム法などが挙げられます。これらにはそれぞれに長所を持ちますが、特定の細胞に選択的に細胞外物質を導入するのが難しいという問題が挙げられます。
近年、動物細胞においてフェムト秒レーザーを利用した技術が注目されています。我々は、この技術により特定の動物細胞に選択的に細胞外物質を導入することに成功しました。しかし、植物細胞は動物細胞と異なり膨圧を持っているため、この技術では細胞外物質の導入が困難になることが考えられます。そこで本研究において我々は、顕微鏡下でフェムト秒レーザーを照射でき、かつ外圧を制御できる装置の開発を行いました。
装置の模式図を図1に示します。シリンジ内の空気を圧縮することにより、チャンバー内の植物細胞に圧力をかけるというシステムです。チャンバーの底はサファイア基板になっており、フェムト秒レーザー照射が可能となっています。さらに植物細胞にかかる圧力は三方向分岐コネクターを介してリアルタイムで圧力モニターに表示できるようになっています。