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<生化学・ 医薬> 
●疾病に関連するタンパク質変性機構の解明
アルツハイマー病、パーキンソン病、狂牛病はフォールディング異常病と呼ばれ、タンパク質の立体構造が崩れ幾つかの分子が集合してしまうことで発症します。しかし、その分子メカニズムは不明のままです。私達は、疾病の原因であるこれらのタンパク質の立体構造変化を分子レベルで解明し、その阻害法の開発を目指しています。
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2010; Dalton Trans., 2012; Biochemistry, 2012, 2013
日刊工業新聞
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●生体内反応を制御する生理活性分子の合成と機構解明
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アポトーシス(細胞死)などの重要な生体反応を、有機小分子により人為的にコントロールするという観点から、これまでにスクリーニングにより多数の生理活性小分子が報告されています。これらの生理活性小分子の中には、その作用機構が不明なものがあります。標的となるタンパク質・酵素に対して、どのように作用をしているのか? を解明することは、臨床応用へ展開する際に欠かせません。我々は、分子レベルで、有機小分子と生体分子の相互作用と機能制御機序を生化学的手法により明らかにし、効率よく生体反応をコントロールできるような有機小分子の開発をめざしています。
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●生体適合性の高いタンパク質超分子材料の開発
幾つかの分子が集合して新しい物性や機能を生じる系を「超分子」と言います。近年、タンパク質などの生体超分子も盛んに研究されています。生体を構成するタンパク質は、有機化合物に比べ高い生体適合性を示します。私達は、生体適合性に優れたタンパク質から成る超分子を創り、新しい機能性材料の開発を目指しています。これらの材料は、生体適合性に優れたセンサー、薬物輸送システム(DDS)、細胞シートの基礎材などへの応用が期待されています。
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●抗体酵素の活性向上と高機能化
抗体は抗原を特異的に認識し、ウイルスによる感染を防ぐ機能などを有します。通常、抗体は酵素活性を示しませんが、抗体の中には抗原認識能に加え、抗原を分解する触媒能を有する抗体酵素が存在します。この抗体酵素は、次世代医薬品として開発研究が行われていますが、酵素に比べ触媒能が低いという問題があり、実用化には至っていません。抗体酵素の中には、抗体軽鎖部分のみで触媒活性を示すヒト由来のものがあり、この抗体軽鎖はスーパー抗体酵素と呼ばれています。本研究室では、多量化によりスーパー抗体酵素の活性向上を試みています。
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<機能性材料>  
●任意形状に自己組織化するタンパク質超分子の開発
複数の分子が集合した超分子は、分子間の緩やかな相互作用によって結び付けられ、組織化され、個々の分子を超えた複雑な化学的、物理的、生物学的な性質を示します。近年、よりに高度で精密に組織された超分子の創成が求められています。当研究室では、精密な生体分子であるタンパク質を高度に組織化した超精密な次世代超分子の創成を目指し、タンパク質分子を任意形状に自己組織化させる研究をしています。
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●天然にない機能をもつ人工金属酵素(バイオ触媒)の開発
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酵素は生体内化学反応の触媒として働くタンパク質であり、酵素を有機合成反応に利用しようとする研究もなされています。一方で天然酵素では対応できない化学反応タイプもあります。そこで、タンパク質構造と合成分子の「いいところ」をドッキングさせた「ハイブリッド酵素」を創成し、天然にはない機能をもつ人工金属酵素(バイオ触媒)の開発研究を行っています。生体内反応ではあまり登場せず、かつ、有機化学で最も重要な化学反応タイプである「炭素ー炭素結合生成/切断」を触媒できる酵素の創成が、有機合成と生化学両方の手法を融合させることで可能となります。
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Chem. Commun., 2012; Organometallics, 2013; Bioorg. Med. Chem., 2014;
Catalysts, 2020 有機合成化学, 2021
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●生体高分子の「柔らかさ」を使った分子機械の創成 --分子情報変換システムの創成--
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タンパク質は、へリックス、シート構造といった特徴的な性質がその構造を形成していますが、一方で、アミノ酸ポリマーとして「柔らかさ」ももつ生体高分子化合物です。我々は、その特徴を使って、ある小分子の結合を「入力信号」とした情報を、タンパク質構造変化を通じて、別の形の機能として情報変換してオンデマンド「出力」する「タンパク質分子機械 --分子情報変換システム-- 」の開発を行っています。たとえば、アデニル酸キナーゼは、基質結合に伴い、大きく構造が変化し、あるアミノ酸残基間の距離は10Å以上も変化します。このアミノ酸残基に合成分子を導入すれば、タンパク質の構造変化を媒介として、合成分子同士の相乗効果をオン・オフできる分子情報変換システムとなります。タンパク質という「ある構造を保ちながら、やわらかい性質ももつ」という「変わった高分子」をベースとし、さらに、タンパク質だけでは実現できない「合成分子の性質」を融合させた分子システムです。
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Bioconjugate Chem., 2013; Bioconjugate Chem., 2015; Tetrahedron Lett., 2019
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●光でスイッチングできる機能性分子の開発
タンパク質やペプチドなどの構造を自由自在に制御できれば、それらの利用法も飛躍的に広がります。例えば、タンパク質の立体構造を光で制御できれば、タンパク質の活性を光でON-OFF制御することが可能になり、光応答性材料として利用できます。当研究室では、タンパク質に光解離性修飾基を導入することで、光照射によって任意のタイミングでタンパク質の立体構造を再形成させることに成功しました。
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J. Am. Chem. Soc., 2006
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●コンピューターを用いたタンパク質超分子構造のデザイン
タンパク質は特定の立体構造を形成することで高度な分子認識能力や多様な触媒能力を発揮します。近年、コンピューターを用いたタンパク質立体構造デザイン技術の発達により、様々な立体構造のタンパク質を創り出すことが可能になってきています。私達は、コンピューターを用いたタンパク質分子構造デザインにより、望みの立体構造へと組み上がる人工タンパク質超分子を創出することで、機能を持った新規分子や新規材料の創成を目指します。
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研究の詳細を知りたい方は、お気軽に研究室へ
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