光反応分子科学研究室の河合壯教授がAsian and Oceanian Photochemistry Association, APA から2025年APA-Masuhara Lectureship Award を受賞

受賞概要

2025年10月21日にインド、ケララ州コチ市にて開催されたAsian and Oceanian Photochemistry Conference, APC2025において2025年APA-Masuhara Lectureship Awardを受賞しました。APAはアジア環太平洋地域の光化学に関する国際協会で、欧州EPA、米州iPASのパートナー組織として、2001年に日本他9か国/地域の光化学組織が連携して設立されました。Masuhara Lectureship Award は初代会長である増原宏博士(本学客員教授)の功績を記念し、2014年に設置され世界の著名な光化学研究者の特別講演に対し表彰を行ってきました。

受賞対象となった研究タイトル・研究者・研究の内容・受賞者コメント

研究題目・論文タイトル

Photochromic Molecules Based on Peri-Photocyclization Reactions
(ペリ電子環状光反応を基盤とするフォトクロミック分子の研究)

受賞対象となった研究の内容

ペリ電子環状光反応は光照射化で6つのπ電子が協奏的に反応しリング構造を形成する光化学反応です。これまでジアリールエテン等を中心に検討が進められてきました。河合教授らはジアリールエテンの分子構造の拡張を進め、ユニークな光子定量光反応、光酸発生反応、連鎖型センサー、蛍光やりん光の制御などへの展開とそのための分子設計指針の開拓に顕著な成果を上げてきました。これまでのペリ電子環状光反応では6π電子系に限定されてきました。2025年に河合教授らは10π光閉環反応が同様の軌道対称性保存機構で進行することを初めて見出しました。1981年にアジア人として初のノーベル化学賞に輝いた福井謙一博士らが提唱したフロンティア軌道理論に基づき予測されてきた10π電子系の発見は光化学に対する顕著な貢献となりました。

受賞者コメント

光化学分野を先導してこられた増原先生のご尊名を冠した国際学術表彰をいただき身に余る光栄です。この機会に国内外の光化学分野を先導してこられた増原先生の業績に改めて敬意を表しますとともに、これまでのお力添えに深く感謝を申し上げます。また研究を支えていただきました本学関係者、特にこれまで研究チーム内で関連研究を支えていただきました諸先生方ならびに学生、修了生の皆様に幾重にも感謝を申し上げます。特に研究支援をいただきましたマテリアル研究プラットフォーム研究センターならびにメディルクス研究センターの皆様に御礼を申し上げます。研究推進にお力添えをいただきました物質創成科学領域の先生方、国内外の共同研究者の皆様に篤く御礼を申し上げます。