量子物理工学研究室の松澤 隼さん(博士前期課程2年)、宮﨑 慧一郎さん(博士前期期課程2年)、遠藤 優介さん(博士前期課程1年)、山林 恵士さん(博士前期課程1年)が応用物理学会 極限的励起状態の形成と量子エネルギー変換研究グループ第14回研究会 兼 第30回次世代先端光科学研究会において講演奨励賞及び若手奨励賞を受賞
受賞概要
2024年2月8日~2月9日に静岡県で開催された応用物理学会 極限的励起状態の形成と量子エネルギー変換研究グループ第14回研究会 兼 第30回次世代先端光科学研究会において、量子物理工学研究室の遠藤 優介さん(博士前期課程1年)が応用物理学会 極限的励起状態の形成と量子エネルギー変換研究グループ 講演奨励賞を受賞しました。同賞は38件の発表から3件の優秀な発表に対し表彰されました。
リンク:極限的励起状態の形成と量子エネルギー変換研究グループ (jsap.or.jp)
また松澤 隼さん(博士前期課程2年)、宮﨑 慧一郎さん(博士前期期課程2年)、山林 恵士さん(博士前期課程1年)が次世代先端光科学研究会 若手奨励賞を受賞しました。同賞は38件の発表の中から4名の優秀者に授与されました。
受賞対象となった研究タイトル・研究者・研究の内容・受賞者コメント
講演奨励賞:遠藤 優介 (M1)
研究題目・論文タイトル
X線検出用Dy添加CaHfO3単結晶シンチレータの開発
研究者・著者
遠藤 優介 (M1)、市場 賢政 (D1)、中内 大介 (特任准教授)、渡辺 賢一 (九州大学 教授)、加藤 匠 (助教)、河口 範明 (准教授)、柳田 健之 (教授)
受賞対象となった研究の内容
シンチレータとは電離放射線のエネルギーを吸収し、即時的に低エネルギー光子へ変換する蛍光体材料です。近年、実効原子番号が既存材料よりも大きいCaHfO3が有望なシンチレータとして注目されていることから、我々はDy添加CaHfO3の単結晶を作製し、その特性評価を行いました。その結果、3%のDyを添加したCaHfO3の発光量においてHfO2系材料で最も高い発光量を得ることができました。
受賞者コメント
この度は栄えある講演奨励賞に選出いただきまして、大変名誉に存じます。本受賞はひとえに柳田教授をはじめ日頃よりご指導いただいております先生方および先輩方の支えがあってのものです。そのことに心より感謝し、今後も研究活動に邁進していく所存です。
若手奨励賞:松澤 隼 (M2)
研究題目・論文タイトル
(4-ClC6H4C2H4NH3)2PbBrxCl4–xの放射線誘起蛍光特性評価
研究者・著者
松澤 隼 (M2)、岡崎 魁 (D1)、中内 大介 (特任准教授)、河野 直樹 (秋田大学 准教授)、加藤 匠 (助教)、河口 範明 (准教授)、柳田 健之 (教授)
受賞対象となった研究の内容
シンチレータは放射線を即時に低エネルギーの光子に変換する蛍光体であり、医用画像診断やセキュリティ等の幅広い分野で用いられています。近年、高効率かつ高速な発光を示すシンチレータとして二次元有機無機ペロブスカイトが期待されています。塩化鉛系において、有機層のフェネチルアンモニウムに塩素を導入した化合物が比較的優れた発光特性を示す結果が得られました。この有機層を用いて本研究では、無機層のハロゲンを混晶にすることで発光特性が向上することを明らかにしました。
受賞者コメント
このような栄誉ある賞を頂き大変光栄です。日頃よりご指導いただいております共著者の皆様にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。今回の受賞を励みにより一層真摯に研究に取り組んでまいります。
若手奨励賞:宮﨑 慧一郎 (M2)
研究題目・論文タイトル
中性子検出用Eu添加LiBr単結晶のシンチレーション特性評価
研究者・著者
宮﨑 慧一郎 (M2)、中内 大介 (特任准教授)、加藤 匠 (助教)、河口 範明 (准教授)、柳田 健之 (教授)
受賞対象となった研究の内容
核開発の副産物として得られる3Heは中性子計測に用いられてきましたが、軍縮に伴いその供給不足が問題となっています。そのため、3Heの代替材料として中性子検出用シンチレータの開発が求められています。本研究では新たな中性子検出用シンチレータの候補材料としてEu添加LiBrに着目し、その発光特性や中性子検出器性能を明らかにしました。
受賞者コメント
この度は次世代先端光研究会若手奨励賞を頂き、大変光栄に思います。日頃よりご指導いただきました共著者の皆様に深く御礼申し上げます。本受賞を励みに今後も一層、研究に精進してまいります。
若手奨励賞:山林 恵士 (M1)
研究題目・論文タイトル
機能性表面を有するジアリールエテン膜のフォトクロミックおよびラジオクロミック特性
研究者・著者
山林 恵士 (M1)、岡崎 魁 (D1)、中内 大介 (特任准教授)、辻岡 強 (大阪教育大学 教授)、加藤 匠 (助教)、河口 範明 (准教授)、柳田 健之 (教授)
受賞対象となった研究の内容
ラジオクロミック材料とは放射線照射により色調変化を呈する材料であり、線量分布のイメージングや電子線線量の測定などに応用されています。本研究では、両異性体が熱的に安定で紫外・可視照射下において優れた繰り返し特性を示すジアリールエテンに着目し、そのフォトクロミックおよびラジオクロミック特性について調査しました。結果、真空蒸着法により作製した消色ジアリールエテン膜において、X線照射に伴う320 nm付近の吸光度低下を確認し、0.1-1000mGyの範囲で良好な線形応答となることを明らかにしました。
受賞者コメント
この度は若手奨励賞という栄誉ある賞を賜り、大変うれしく光栄に存じます。柳田教授をはじめとする研究室の皆様ならびに共著者の皆様に深く御礼申し上げます。この度の受賞を励みとして、日々研究活動に精進してまいる所存です。