
量子物理工学研究室の藤井 愛朗さん(博士前期課程2年)、本條 悟史さん(博士前期課程2年)、権田 樹さん(博士前期課程1年)、林 尚輝さん(博士前期課程1年)が応用物理学会 量子エネルギー変換研究会 第3回研究会 兼 第36回次世代先端光科学研究会において講演奨励賞および若手奨励賞を受賞
受賞概要
2025年9月15-16日に群馬で開催された応用物理学会 量子エネルギー変換研究会 第3回研究会 兼 第36回次世代先端光科学研究会において、量子物理工学研究室の藤井 愛朗さん(博士前期課程2年)が応用物理学会 量子エネルギー変換研究会 講演奨励賞を受賞しました。同賞は63件の発表から3件の特に優秀な発表に対して表彰されました。
また、本條 悟史さん(博士前期課程2年)、権田 樹さん(博士前期課程1年)、林 尚輝さん(博士前期課程1年)が次世代先端光科学研究会 若手奨励賞を受賞しました。同賞は63件の発表の中から8件の優秀な発表に対して表彰されました。

受賞対象となった研究タイトル・研究者・研究の内容・受賞者コメント
講演奨励賞:藤井 愛朗
研究題目・論文タイトル
Tb添加ゲーレナイト単結晶の作製と熱蛍光特性
研究者・著者
藤井 愛朗 (M2)、宮﨑 慧一郎 (D2)、竹渕優馬 (宇都宮大)、加藤 匠 (助教)、中内 大介 (特任准教授)、河口 範明 (准教授)、柳田 健之 (教授)
受賞対象となった研究の内容
熱蛍光材料は吸収した線量に応じた発光強度を示すことから、個人被ばく線量計へと応用されています。この用途においては、生体等価性の観点から人体軟組織に近い実効原子番号や、高い蓄積発光強度を示すことなどが求められます。本研究では、ゲーレナイト (Ca₂Al₂SiO₇) 単結晶をフローティングゾーン法により作製し、熱蛍光特性の調査を行った結果、市販材料と同等の発光強度を示すことを明らかにしました。
受賞者コメント
このような栄誉ある賞をいただき大変光栄に感じております。日頃よりご助力いただいた皆様方に深く感謝申し上げるとともに、本受賞を励みにこれから研究に尽力していく所存です。
若手奨励賞:本條 悟史
研究題目・論文タイトル
Cr濃度を変化させたアレキサンドライト透明セラミックスの作製とドシメータ特性の評価
研究者・著者
本條 悟史 (M2)、市場 賢政 (D3)、白鳥 大毅 (東京理科大)、加藤 匠 (助教)、中内 大介 (特任准教授)、河口 範明 (准教授)、柳田 健之 (教授)
受賞対象となった研究の内容
蓄積蛍光材料は放射線のエネルギーを一時的に蓄積し、光や熱などの外部刺激を加えることで発光を呈することから、個人被ばく線量計やイメージングプレートに応用されています。本研究では、Cr濃度を変化させたアレキサンドライト (Cr:BeAl₂O₄) の透明セラミックスを作製し、その熱蛍光 特性の評価を行いました。その結果、0.5% Cr添加サンプルが最も高い熱蛍光強度を示し、0.1 mGyの線量に対して感度を有することを明らかにしました。
受賞者コメント
このたび、次世代先端光研究会若手奨励賞を受賞することができ、大変光栄に思います。本受賞にあたり、日頃からご指導・ご支援をいただいている先生方や先輩方に深く感謝申し上げます。今回の経験を大きな励みに、これからも研究活動に真摯に取り組んでまいります。
若手奨励賞:権田 樹
研究題目・論文タイトル
ジメチルスルフィド配位子を有するCu₄I₄クラスターのシンチレーション特性
研究者・著者
権田 樹 (M1)、山林 恵士 (D1)、中内 大介 (特任准教授)、加藤 匠 (助教)、河口 範明 (准教授)、柳田 健之 (教授)
受賞対象となった研究の内容
ヨウ化銅クラスター錯体材料は、溶液プロセスによる低コストな合成が可能なことや、低次元構造に起因する量子閉じ込め効果により高効率な発光を示すことから、新規シンチレータ材料として注目されています。本研究では、ジメチルスルフィドを配位子とするCu₄I₄クラスター単結晶を溶媒拡散法によって作製し、フォトルミネセンスおよびシンチレーション特性を調査しました。結果、実用材料に匹敵する高い発光量と良好な残光特性を示すことを見出しました。
受賞者コメント
研究の成果が高く評価されましたこと、大変嬉しく思います。ご指導いただいた先生・先輩方、ご助力くださいました研究室の皆様に心より感謝申し上げます。
若手奨励賞:林 尚輝
研究題目・論文タイトル
Ti添加Y₃Al₅O₁₂単結晶のシンチレーション特性におけるTi濃度依存性
研究者・著者
林 尚輝 (M1)、國方 俊彰 (D3)、市場 賢政 (D3)、加藤 匠 (助教)、木村 大海 (産総研)、中内 大介 (特任准教授)、河口 範明 (准教授)、柳田 健之 (教授)
受賞対象となった研究の内容
シンチレータは電離放射線を多数の低エネルギー光子に変換する蛍光材料であり、X線CT検査装置や空港の手荷物検査装置などに応用されています。本研究では、優れた光学特性および高い化学的安定性を有するY₃Al₅O₁₂に発光中心としてTi⁴⁺イオンを添加した単結晶をフローティングゾーン法により作製し、その光学およびシンチレーション特性のTi濃度依存性を評価しました。作製したサンプルを用いたα線計測に成功し、添加濃度1%において最高の発光量を示すことを見出しました。
受賞者コメント
このたびは栄えある賞を賜り、大変光栄に存じます。日頃よりご指導とご支援をいただいております先生方ならびに先輩方に心より感謝申し上げます。本受賞を励みに、今後も研究活動に真摯に取り組んでまいります。