奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学領域 光反応分子科学研究室

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Research1

革新機能を有する光反応分子の開発

単結晶状態の有機分子のフォトクロミック反応の例
Proc. Jpn. Acad., Ser. B, 2001, 30-35

フォトクロミック分子は光照射に伴って分子構造が変化し、さらにもとの構造に戻すことが出来ます。私たちは、フォトクロミック分子を基盤に、光記録やセンサーなどの他、フォトレジストや光パターン形成など多様な光反応分子の開発を進めています。

1. ターアリーレン誘導体の基本骨格と光反応

Chem. Commun., 2004, 72-73
Eur. J. Org. Chem., 2007, 3212-3218

ターアリーレンは紫外光照射に伴って、3つの2重結合(ヘキサトリエン)ユニットが光閉環し6員環(シクロヘキサジエン)型着色体を形成します。可視光照射により、もとの無色の開環体に戻ります。

2. 高反応活性ターアリーレン誘導体

Angew. Chem., Int. Ed., 2011, 50, 1565-1568.

私たちはターアリーレンの光反応量子収率をほぼ100%にまで高めることに成功しました。これは下図のようにS原子ーN原子およびH原子ーN原子間の吸引力を利用し、反応性コンフォメーションを特異的に安定化させることで達成しました。

3. 高感度-光酸発生剤(PAG)への展開

J. Am. Chem. Soc, 2015, 137, 7023-7026.
Chem. Commun., 2017, 53, 4339-4341.

光閉環反応後に強酸基を放出するターアリーレンを開発し、光酸発生機能を明らかにしました。高分子重合反応の光開始剤として利用することでフォトレジストの大幅な高感度化が可能になりました。

Chem. Eur. J., 2016, 22, 16250-16257.
J. Am. Chem. Soc., 2019, 141, 20043-20047.

ブレンステッド酸のみならず強力な化学反応性を有するルイス酸を発生する分子、PLAGにも成功しました。これまでのルイス酸試薬とは異なり、簡便安全に取り扱うことが可能でしかも光照射によって高反応活性のカルボカチオンを形成可能です。

4. 超連鎖反応分子の構築

J. Phys. Chem., 1995, 99, 6110-6114.
J.Amer.Chem.Sic.,2011.

ターアリーレンの閉環体(着色体)は酸化反応によって開環反応が引き起こされ、無色型へと異性化することを見出しました。

Chem. Eur. J., 2016, 22, 10002-10008.

さらに酸化剤1分子あたり1000分子が反応する連鎖開環反応に成功しました。

Chem. Sci., 2020, 11, 2504-2510.

X線による酸化連鎖反応を利用することで、放射線を簡便高感度に可視化する放射線センサーに成功しました。

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