第3回研究会

平成26年9月2日に第3回超短パルスレーザー細胞プロセス研究会「異分野融合による生体内の力場・反応場の理解」が開催されました。
最初に、幹事を努める細川から、セミナーの趣旨とフェムト秒レーザー誘起衝撃力を利用した単一細胞の力学作用の解明に向けた研究が紹介されました。松井貴輝博士からは、ゼブラフィッシュ胚中の細胞のレーザーによる部分欠損からその形態形成や創傷治癒を探ろうとする研究について紹介されました。赤沼啓志博士からは、ゼブラフィッシュ胚中の細胞形状をレーザーにより変形させたときにみられる細胞分化の指向性に関する新たな知見が示されました。米田新博士からは、植物細胞内に形成される二次細胞壁の形成メカニズムについて紹介され、そこに関わる力学作用に関する議論がなされました。宮島俊介からは、シロイヌナズナの根の先端(根冠)が力を感じるメカニズムと、その解明に向けたレーザー誘起衝撃力の応用の可能性について示されました。末次志郎博士からは、培養細胞上の脂質結合タンパク質の構造とそこでの力学作用の重要性について説明されました。浦崎明宏博士からは、フェムト秒レーザーを用いた神経細胞の形状制御によりその機能を探ろうとする研究と、汎用性が極めて高いトランスポゾンを用いた遺伝子導入方法について紹介されました。西山靖浩からは、細胞機能の局所制御を目指した新規な光解離性ケージド化合物の合成の試みについて紹介されました。杉浦忠男博士からは、光ピンセットにより細胞表面の力学作用を調べる試みと、そのために開発されたパルスレーザーを用いた新奇な光ピンセットについて紹介されました。
その他に、これらに関連する研究室からのポスター発表9件と、さらに京都大学・平島剛武博士による生体組織の形態形成過程を実験と数値計算により明らかにしようとする研究についてのポスター発表がありました。
研究会の後、教職員・研究員・博士課程の学生を中心とした約20名で懇親会を開催し、今後の共同研究についての議論が行われ、物理・化学系とバイオ系で連携した共同研究のみならず、バイオ系の間(発生系、生化学系、植物系などの間)でも本セミナーが課題とする「生体内の力場・反応場」に関する研究の連携を深められる可能性も見いだされ、今後の発展に向けての話し合いがなされました。
予稿集をご希望の方は、当研究会までご連絡ください。


詳細

日時:平成26年9月2日(火)13:00~17:25
場所:奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 E207/208演習室
参加費:無料

講演プログラム

     
13:00-13:10 開会の辞
細川陽一郎 (物質創成科学研究科)
13:10-13:30 フェムト秒レーザーを利用した新しい細胞内の力場評価方法の確立
細川陽一郎 (物質創成科学研究科)
13:30-13:50 動物初期胚の形態形成における力の役割
松井貴輝(バイオサイエンス研究科)
13:50-14:10 細胞の形と非対称分裂における運命決定
赤沼啓志(バイオサイエンス研究科)
14:10-14:30 植物の通水組織の進化を探る-ミズゴケの透明細胞の分子制御機構
米田新(バイオサイエンス研究科)
14:30-14:50 根冠の形態形成のための分子制御機構
宮島俊介(バイオサイエンス研究科)
14:50-16:00
ポスター発表
16:00-16:20 脂質結合タンパク質の構造と機能
末次志郎(バイオサイエンス研究科))
16:20-16:40 神経突起の伸長制御メカニズム
浦崎明宏(バイオサイエンス研究科)
16:40-17:00 蛍光性光解離性保護基を用いたケージド化合物の開発
西山靖浩(物質創成科学研究科)
17:00-17:20 パルスレーザー・アシスト光ピンセットによる細胞に働く力場評価
杉浦忠男(情報科学研究科)

17:20-17:30

 

閉会の辞
松井貴輝(バイオサイエンス研究科)
18:00-20:00 懇親会(ワンカルビ 学研北生駒店)

プログラムPDF

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